2024/01/04
品川区の歯医者 かなもり歯科クリニックの歯科衛生士 隅田です。
突然ですが皆様、こんなメッセージをご存知ですか?
『 Floss or Die?(フロスか死か?) 』
かなりインパクトに強いメッセージですが、これは1997年にアメリカの歯周病学会が発表した、歯周病予防のためのキャッチコピーです。
大袈裟のように感じるかもしれないですが、歯周病は口腔内だけにとどまらず、命を脅かすほどの全身疾患に影響を与えるとされています。
デンタルフロスの使用が歯周病だけでなく虫歯や口臭を予防するには必要不可欠です。
ただ、患者様の中にはデンタルフロスの使用で歯茎が下がるのでは?と心配される方もいらっしゃいます。
今回のコラムではデンタルフロスの使用で歯茎は下がるのかを解説。
また、現役歯科衛生士がデンタルフロスを使用する上での注意点とコツをご紹介します。
目次
結論、正しい方法で使用している場合にはデンタルフロスによって歯茎は下がりません。
なぜ歯茎が下がったと感じる方がいるのでしょうか?
それは、元々歯肉炎や歯周病によって炎症していた歯茎がデンタルフロスの使用によって
健康的な歯茎に改善し、引き締まったことで歯茎が下がったと感じることはあります。
かなもり歯科クリニックでは、歯周病の治療を受けれる方に対して事前に炎症していた歯茎が引き締まったことにより、現在の歯茎の位置と術後の歯茎の位置が変化する可能性があることをご説明し、ご理解いただいた上で歯周病治療を行っております。
炎症していた歯茎と比較して健康的な歯茎になり歯茎の位置が下がってしまう事は副作用として致し方ないことです。
また、歯と歯の隙間がデンタルフロスの使用によって空いてしまうこともありません。
短期間で歯と歯の間を空けるには矯正治療など歯牙に対してかなりの力を加えないと難しいことです。
歯間ブラシとデンタルフロスはどちらも歯と歯の間を清掃する道具ですが、患者様のお口の状態によって使い分ける必要があります。
合っていない道具を使用してしまうと歯茎を傷つけ下げてしまう原因になります。
歯ブラシのようにブラシが付いているものが “歯間ブラシ”
糸のようなものが “デンタルフロス“(糸ようじ)です。
高齢者や歯周病によって歯茎が下がってしまった方は歯と歯の隙間が広くなってしまいます。
デンタルフロスでも清掃は可能ですが歯間ブラシを使用したほうが歯と歯の隙間が広い方にとっては清掃効率は上がります。
ただし、自身の歯と歯の隙間に合った歯間ブラシを選択しないと歯や歯茎を傷つけてしまう原因になります。
歯間ブラシには様々なサイズ展開があるので歯医者さんでどこの部位にはどのサイズか適しているのかを確認してもらいましょう。
歯と歯の隙間が狭い方が歯間ブラシを無理に使用してしまうと歯茎を傷つけてしまい、歯茎を下げてしまう原因になります。
近年、顎が小さいお子様が多く、幼少期から歯と歯の隙間が狭い子をお見かけします。
歯と歯の隙間が狭いお子さんは食べかすなどが詰まりやすく、虫歯のリスクも高まるため、お子様の仕上げ磨きにもデンタルフロスの使用が必要です。
先ほど、デンタルフロスの使用で歯茎は下がらないとお伝えしました。
これは正しいデンタルフロスの使用方法を行っている場合に限ります。
間違ったデンタルフロスの使用方法を2つご紹介します。
『バチン!!』と無理矢理デンタルフロスを入れ込んでしまう方がいらっしゃいますが歯茎を傷つけてしまい、歯茎が退縮してしまう原因になります。
また、強い力でデンタルフロスを動かしてしまうこともあまり良くないです。
歯茎はデリケートなので優しくスライドさせながらデンタルフロスを入れてあげましょう。
歯面からデンタルフロスが離れているとプラーク(歯垢)を取り残してしまいます。
また、歯面に沿わせずにデンタルフロスを動かしてしまうと歯茎を傷つけてしまう原因になります。
デンタルフロスは歯面にピッタリくっつけて歯茎のポケット内のプラーク(歯垢)を取り除きましょう。
ここまでで正しいデンタルフロスの使用方法の重要性についてご紹介してきました。
正しいデンタルフロスの使用方法を知る機会は少ないです。
実際に歯医者さんで患者様と接している中でデンタルフロスの種類や自身に合った選択方法など特に気にしないで選んで使用している患者様も少なくないです。
このコラムを拝見して少しでもデンタルフロスについて知っていただけたらと思います。
主にデンタルフロスの形には2種類に分かれます。
グリップがあるホルダータイプと指に巻いて使用する糸巻きタイプです。
ホルダータイプのメリットはグリップがついている為、容易に操作ができることです。
糸巻きタイプのデンタルフロスが難しくて続かなかった方や高齢者や小学期のお子さんにおすすめです。
糸巻きタイプのメリットはホルダータイプと比較して歯垢除去率が良いことです。
理由としては常に新しい糸部分を使用して歯と歯の清掃することが可能で
汚れた部分を再度使用することがないので歯垢を除去することができます。
操作方法が少し難しく、断念してしまう方も多いいのです。
もし、糸巻きタイプを使い続けることができるのであれば糸巻きタイプのデンタルフロスを行うことをおすすめします。
デンタルフロスにはワックス加工の有無が存在します。
ワックス加工することで歯への滑りが良くなり扱いやすくなるというメリットがありますが
歯垢除去効率は減少してしまいます。
初めてデンタルフロスを使用する方や歯と歯の隙間がかなり狭くデンタルフロスの挿入が難しい方、虫歯治療を行っていて歯医者さんで虫歯などの問題はないと診断されているがワックス加工の無いデンタルフロスが毎回引っかかってしまう方などにはワックス加工が有るものがおすすめです。
問題なくワックス加工が無いものを使用できるようであれば歯垢除去効率を重視して、ワックス加工が無いものを選択することをおすすめします。
患者様にデンタルフロスの指導する際に歯科衛生士が必ずお伝えするポイントがあります。
デンタルフロスにチャレンジしてみたけど、上手に操作できない方は3つのポイントを意識してみてください。
デンタルフロスを最初に巻き付けるのは中指にしてください。
人差し指や薬指に巻き付けてしまうとうまくデンタルフロスを操作することが難しくなります。
集中してくるとデンタルフロスを操作する部分が長くなってしまう方がいらっしゃいます。
そんなに長い糸をお口の中で操作するのは難しいので1〜2㎝程度の距離で保ちましょう。
奥歯を行う際は頬粘膜を指でしっかり排除してデンタルフロスを入れ込むことが大切です。
口の外から入れようとするとデンタルフロスが奥まで入らないので人差し指を口の中に入れ込んでください。
正しいデンタルフロスをおこなっていても全てのプラーク(歯垢)が全て除去しきれるわけではありません。
歯石が付着してしまったらセルフケアでの除去は難しく、歯医者さんで歯科衛生士さんに除去してもらう必要があります。
また、かなもり歯科クリニックでは口腔内写真を撮影することで歯茎や歯面の状態を常に記録しております。
かかりつけの歯医者さんとしてご来院いただく患者様には過去の写真と比較すること状態の変化を把握し、問題点をみつける事ができています。
歯茎の退縮もセルフケアの行いだけでなく、噛み合わせや習慣的な癖などの様々な要因により起こりうることです。
お口の状態を把握する為にもかかりつけの歯医者さんで定期的な歯科検診の受診が大切です。
私たちは、歯周病専門のクリニックとして虫歯治療から噛み合わせまで、 患者さま一人ひとりに合わせたトータルな治療をご提案し、患者様の満足を第一に最後まで治療します。
初診のお申し込みは、24時間WEBから可能です。 皆様のご来院を心からお待ちしております。