2024/02/01
02.かなもり歯科クリニック, 06.歯周病, 07.歯周外科処置, 16.予防歯科, 27.治療
品川区の歯医者 かなもり歯科クリニックの歯科医師の沼部です。
CMやTV番組でもよく聞く歯周病とはどんなものなのか、原因や治療の方法までわかりやすく説明しています。
最後には予防法まで書いていますので歯周病について知りたい方、悩みがある方は参考にしていただけたらと思います。
目次
歯周病は歯を支えている骨や歯ぐきの病気のことです。
磨き残しにより歯の表面に付着した歯垢(プラーク)が石灰化して歯石になると、
歯石が付着した歯と歯ぐきの間に隙間(歯周ポケット)ができ、炎症を起こします。
この炎症が歯ぐきの内部にまで進むと、
歯根膜(歯を取り囲む膜)や歯槽骨(歯を支えている骨)が破壊されて歯を固定する力が弱まり、放っておくと最終的に歯を失うことになるのです。
わかりやすく、家に例えてみましょう。
家の土台が柱が地盤が緩んだり、害虫によって老朽化すると、家屋を支える力を失ってしまいます。
そうなると家屋全体がグラつき始め、やがては倒壊してしまいます。
同じように歯周病では、磨き残しによって歯の土台である歯槽骨がだんだん減っていき、ついには歯が抜けてしまうのです。
歯周病の原因は様々です。原因の一部をご紹介します。
歯垢とは簡単に言ってしまうと、細菌の塊のことです。
磨き残しはお口の中の細菌によって代謝されます。さらに、代謝によって作った粘着物質で細菌は自分の周りをカバーしていきます。
この細菌と代謝物の塊が、歯垢なのです。
歯垢は細菌にとって快適な空間となり、どんどん新しい細菌が増殖していきます。
歯周病の原因菌は酸素が嫌いなので新しい歯垢にはあまりいませんが、歯垢をずっと放置してしまうことで酸素が届かない歯垢の奥深くで歯周病の原因菌が徐々に増えていき、歯周病が進行します。
タバコに含まれる有害物質の薬理作用によって、歯の周りを支えるさまざまな組織が破壊されてしまいます。
また、1日に吸うタバコの本数、喫煙歴(何年吸っているか)などは歯周病の重篤度と関連があります。
糖尿病の患者さんの特徴に、免疫力の低下が挙げられます。
免疫力の低下が見られるということは、歯周病菌に感染するリスクが通常の人よりも高いです。
さらに歯周病菌が出す炎症性サイトカインと呼ばれるものが糖代謝を防いでしまい、糖尿病を悪化させる要因になります。
他にも、ストレスや疲労による体力の低下が歯周病を悪化させると言われています。
喫煙や糖尿病は歯周病を進行させるだけではなく、治療の効果も低くなると言われています。
そのため歯周病治療では、禁煙のサポートや糖尿病の担当医師と連携して全身の健康管理も一緒に行います。
歯周病は、日本人の成人のおよそ80%が歯周病にかかっていると言われています。
まさに国民病です。
軽度のものも含めると、40歳以上では5人中4人は歯周病患者となります。
高血圧・糖尿病と同じように、初期段階では自覚症状を伴わないのが特徴です。
症状がほとんどないため、多くの人が歯周病に気付かず、放置しているのが現状です。その間に歯周病はどんどん進行していくのです。
歯周病が進行すると、以下の様な症状が出ることがあります。
・歯磨きで歯肉から出血する
・歯肉が腫れる
・歯肉が下がって、歯が長く見える
・歯と歯の間に隙間が見える
・口臭がする
・疼くような鈍い痛みがある
・食事が噛みにくい
はっきりした痛みが出ることが少なく、見た目でわかりにくいことから発見が遅れてしまうケースが多く見られます。我々歯科医師でも、自分の口の中でどれくらい歯周病が進行しているのか自分では正確に判断することがむずかしい、恐ろしい病気です。
口の中で上記のような症状があるようでしたら、歯医者さんでの歯科検診を強くお勧めします。
歯周病には段階があります。 初期の症状の段階で発見し、治療を開始することが重要となってきます。
歯と歯ぐきの間に、プラーク(歯垢)や歯石がたまり、細菌が繁殖して歯肉が炎症を起こしている状態です。
症状としては、歯肉の腫れや出血などです。
この段階であればブラッシング指導に基づく日々のブラッシングや、歯のクリーニングを1~2回行うことで、比較的短期間で回復します。
口臭や出血がひどく、歯石の付着も目立ちます。歯科医など専門家が見れば歯肉にも炎症を起こしているのが確認できる状態です。
軽度歯周病とは異なり、徐々に骨が後退しはじめます。歯周ポケットも深くなり、歯もグラグラと動揺が見られます。
この段階まで進行してしまうと、歯の表面に沿って歯肉溝の奥まで付着した歯石を取り除く必要があります。(スケーリング・ルートプレーニング)
痛みを感じる時は麻酔をして痛みを最小限に抑えた状態で歯石を取り除きます。麻酔をする治療は痛みはないと思っていただいて問題ありません。さらに数回にわたって除石を行い、歯肉の状態が改善された後に検査を行います。
歯肉溝(ポケット)の深さが4mm以上あるところは、通常の手用器具を用いた非外科的な処置での治癒は見込めないため、歯周外科の適応となります。
中等度歯周病が進行し、歯肉が化膿して真っ赤に腫れます。骨もかなり破壊されて後退し、歯の動揺が大きくなります。
重度の場合、非外科処置では対応できない部位があれば歯周外科(手術)にて対応します。
それでも保存不可能な場合は抜歯となります。歯周病の手術はいろいろありますが、基本的には日帰りで行える手術となります。
一口に歯周病といっても、その進行具合によって治療方法が大きく異なることがわかっていただけたかと思います。
重度の歯周病まで進行してしまった場合は抜歯を伴うこともありますので、歯周病が進行しないうちに治療することをおすすめします。
当院での歯周病治療の流れをご紹介します。
まずは問診票の記入をしていただきます。
その後口腔内写真の撮影・歯周ポケット検査・レントゲン検査などを行い、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯が動いていないかなどを調べます。
歯周ポケットの深さは1~3mmまでが健康な状態。4mm以上だと要注意です。
また、当院のレントゲン検査は、デジタルレントゲンで実際の1/10のX線被ばく量でパノラマ撮影が可能。デジタル操作により撮影画像を拡大することができ、綿密な治療計画を立てることに役立ちます。
歯周病検査の結果を元に、患者さまのお悩みやご希望を伺うためのカウンセリングを行います。
患者さまが、痛みや出血、膿が出る、被せ物の違和感といったトラブルを自覚していらっしゃる場合は、まずお困りの状況の解決方法をご提案し、それらの症状が治まったあとに次の初期治療へ進めていきます。
例えば、中等度の歯周病で詰め物が取れてしまい「詰め物が取れたままで気持ち悪い、食べ物が詰まって困る」といった患者さまのケースでは、歯ぐきが腫れていたり膿が出ている状況でも、まずは取れている部分に詰め物をして日常生活のお悩みを取り除きます。
特に緊急ではなく「検診を受けたい」「歯周病の検査をしてほしい」「顎の関節が気になるけど特に痛みはない」といった患者さまの場合は、検査を綿密に行い治療計画を立てます。
歯石除去や歯みがき指導などで、歯ぐきの土台を改善させるステップです。
歯周病の原因を知っていただき、歯磨きの指導を行います。患者さまご自身の日々の歯磨きの方法が上達するように指導することが私たちの仕事でもあります。
その後、スケーラーという器具を用いて歯石を除去するスケーリングや、歯根の深い部分の歯石を除去し歯根表面を滑沢にするルートプレーニング、不良補綴物の除去や噛み合わせの調整といった初期治療へ進みます。
上記の基本治療を行ったあと、経過を見ながら再度口腔内写真の撮影や歯周病検査を行い、歯ぐきの改善状況をチェックします。
この時点で歯周ポケットの深さが3mm以下で出血もなければ治療は終了ですが、健康な状態を維持するために定期的なメインテナンスをお勧めしています。
歯周ポケットの深さが4mm以上の場合は、もう一度全体的な初期治療を行います。
歯周病が進行していて歯周組織の破壊が激しい場合は歯周外科手術を行い、破壊された歯周組織を回復させます。
外科的な処置に関しては、患者さまに選択をしていただく必要があります。
外科処置を望まない場合は、再度の初期治療で少しでも改善させる方法や 被せ物で現状を維持する方法、あるいはメインテナンスに移行し現状を維持する方法など、ご希望に添える方法を一緒に探し、インフォームドコンセントの上で治療を進めていきましょう。
SPTとは、「サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー(supportive periodontal therapy)」の略称です。
治療が終了した後にも歯周病治療後の再発の予防と併せて、再発が起こってしまった場合に早い段階で適切な処置を施すために、 連続的な経過観察と予防処置を行います。
最近、歯周病の予防に関しては「メインテナンス」ではなく、この「SPT」という用語を使うことが、国内外の歯周病学会から提唱され始めています。
つまり、SPTはメインテナンスの中でも「歯周病のリスクが、中程度より高いレベルの患者さまを対象として特化した予防理念」といえるでしょう。
歯周病から歯を守るための最善の方法はずばり予防です。歯周病の予防は日常の習慣や定期的な歯科ケアによって実現できます。
口腔衛生と健康的な生活習慣を守り、歯周病を予防しましょう。早期の対策が将来の歯の健康を保つのに役立ちます。
歯周病にならないためにも、定期的にお口のチェックを受けることが重要です。
文献的な考察によると現在30歳の方であれば、定期的なメインテナンスで70歳までに失う歯は4本で済むのが目安です。
また、ポケットの深さが3~4mm程度ある場合、健康な状態と要注意の状態の境い目なので、2か月に1回のメインテナンスが理想的です。
このペースを維持できれば、10年間で歯を失う確率を1本程度に抑えることが可能です。
自覚症状のない初期段階で歯周病を発見し早めのケアをすることで重症化を回避できたり、症状が緩和したあとの定期的なメインテナンスが再発防止につながったりと、定期検診の役割は甚大なのです。
毎日の歯みがき同様、定期検診、定期的なメインテナンスを「習慣化」することをお勧めします。
生まれつき歯周病だという方はいません。歯周病は生活の中で生じる慢性病です。
小さな時から予防を習慣化することで、将来にわたって歯周病になりにくい口腔環境を作れます。
予防が重要であることは、歯周病に限ったことではありません。
乳歯のシーラントや小児矯正などで虫歯になりにくい口腔環境を整えることは、しっかりしたプラークコントロールが可能になり、総合的に「歯を残すこと」へつながるのです。
とはいっても、お子さま自身が「将来の歯の状況」を考えられるわけではないので、ご家族の「お口の中への考え方、予防の捉え方」が重要です。
当院ではお子さまへの歯みがき指導や食育指導も行っていますので、ぜひご家族揃って予防に取り組んでいただきたいと思います。
毎日使っている歯ブラシにも、歯周病菌の繁殖は見られます。
正しいブラッシングを行っていても、歯ブラシに繁殖した歯周病菌を毎日お口の中に戻していては台無しです。
歯ブラシを定期的に交換することも大切な予防です。
一般的には、通常の歯ブラシは1ヶ月、電動歯ブラシで2~3ヶ月が交換時期の目安ですが、歯ブラシの種類によって異なります。
当院では、ブラッシング方法を指導すると共に、適切な歯ブラシの交換時期についてもアドバイスさせていただきますのでお気軽にご質問ください。
歯周病専門医・指導医とは、
日本歯周病学会が歯周病治療の知識や経験を認めた歯科医師に交付する資格認定制度であり、審査・試験を経て、合格した歯科医師に交付されるものです。
日本歯周病学会とは、歯周病を克服することにより自分の歯を1本でも多く残すことを目的に1957年に設立された学術団体であり会員総数は2019年9月30日時点で11,569名在籍しております。
会員の構成の特徴としては大学の臨床講座の会員以外に、基礎講座および開業歯科医の会員、加えて歯科衛生士の会員の比率が多いことです。
このことは歯周病という疾患の病因、病態や治療法の多様性を強く反映しています。
歯周病学会は歯周治療における専門的知識と技術を有する歯科医師を育成するとともに、国民の口腔保健の増進に貢献することを目的として認定医、専門医、指導医等の資格を設けています。
平成28年12月31日時点の歯科医師数は104,533人 です。
学会員11,569人のうち専門医は「5年間あるいは認定医取得後2年間研修施設で研修し、さらに専門的な歯周治療の知識と技量をマスターした上で専門医試験に合格した歯周病学会員」
とされ、2020年5月時点で全国で約1,125人です。
また、指導医となると2020年5月時点ではわずか273人となります。
当院の院長は専門医・指導医の資格を保持しております。
資格を誇示するものではありませんが、
「歯周病治療の標準的な知識を持ち、適切な治療が行える歯科医師であること」を数ある歯医者の中から当院を見極める指標のひとつにしていただければ、安心して歯周病の治療や予防をお受けいただけます。
歯周病にお悩みの患者様はお気軽にご相談ください。
いかがでしたでしょうか。歯周病について理解が深まったかと思います。歯周病は口腔内の一般的な問題であり、適切なケアと予防策を取ることで管理できます。
歯周病の早期発見と治療は、歯と歯茎の健康を維持するために非常に重要です。
歯科医のアドバイスに従い定期的な歯科検診を受けることで、歯周病のリスクを最小限に抑えることができます。
歯周病をご自身で見つけることは難しいと思いますので、当院までお気軽にご相談ください。
私たちは、歯周病専門のクリニックとして虫歯治療から噛み合わせまで、患者さま一人ひとりに合わせたトータルな治療をご提案し、患者様の満足を第一に最後まで治療します。
初診のお申し込みは、24時間WEBから可能です。 皆様のご来院を心からお待ちしております。
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