2024/05/23
品川区の歯医者 かなもり歯科クリニックの歯科助手の安田です。
ソケットプリザベーションをご存知ですか?
ソケットプリザベーションとは、抜歯窩(歯を抜いた部分)にコラーゲンや骨に代わる材料(体に優しいもの)を入れていくことで、抜歯した部分の周りの骨が吸収されへこむことを防ぐ治療方法のことです。
ソケットプリザベーションを行うメリットや料金、そもそも歯を抜いた後の状態を詳しく説明をしていきます!
目次
歯茎の中には歯を支えている歯槽骨という骨があります。歯槽骨は支える歯がなくなると徐々に吸収されていまい、最終的には骨が痩せてしまいます。また、抜いた歯の周りの歯槽骨だけでなく、隣の歯の歯槽骨も痩せて歯が弱くなり、抜けやすくなってしまいます。
親知らずや状態が悪い歯(折れている、虫歯が大きかった)を抜いた後は治りも悪く、へこんだ状態になってしまいます。
基本的に、歯を抜いた後は抜いた歯の部分で噛めるようにするために入れ歯やブリッジ、インプラントで治療をする必要があります。抜けた部分が陥没しているままだと綺麗に治すことができず、安定性が悪いせいで噛み合わせが悪くなります。
ただ親知らずを抜いた後は別です。噛めるように補綴物(入れ歯など)を入れる必要は基本的にはないことがほとんどです。
しかし、親知らず抜歯で大きな穴が空くと「ドライソケット」と呼ばれる状態になってしまうことがあります。
抜歯した後は穴になってしまった傷口を埋める為に血餅と呼ばれる、血液の塊が形成されます。血餅が何かしらの理由で形成されなかったり、うがいを何度もしてしまい血餅が流れると骨がむき出しになってしまいます。
そうなると、外部からの刺激を直接受け、血餅がある状態と比べると細菌の感染が起こりやすく激しい痛みや炎症が起こってしまいます。これをドライソケットといいます。
抜歯後のうがいのしすぎや傷口の触りすぎ(意外に舌で無意識に触っている方が多いです)や、抜歯直後の飲酒、喫煙、などで本来は骨を覆うはずであった血餅を流してしまう・または血餅が形成されにくいことをして骨が露出してしまうと起こります。
また、大きな親知らずや横に生えている親知らず、元々が大きな歯・歯根肥大が見られる歯を抜いた後、口の中に露出している骨の部分が大きいとそれらもドライソケットのリスクとなります。
抜歯の痛みは基本的に3~4日で痛みはおさまることがほとんどです。1、2週間以上たっても痛みが治まらない、日がたつごとに痛みが強まるなどに加え、抜いた辺りからいやな臭いがするなどがあればドライソケットの症状とみなします。
ドライソケットは、傷口の炎症や細菌の増殖といった菌の感染により引き起こされ、人によっては眠れないほど激しい痛みを伴う方もいらっしゃいます。上記の症状に当てはまる方は抜歯した歯科医院に相談をしてみましょう。
①鎮痛剤を飲んで痛みを抑える
②感染している部分を消毒し、感染を予防するために抗生物質を服用する
③ドライソケットの原因は抜歯後にできるはずの血餅がなくなることによるものです。
なのでもう一度外科的に出血させて新しい血餅を作ります。痛みが強く出る為現在はあまり用いられていません。
以上の事から抜歯窩を露出させたままであると治るのに時間がかかったり、ドライソケットになるリスクがあることがお分かりいただけたかと思います。
そうならないように骨の吸収を抑え、歯茎を平坦化させる方法があります。ご自身で抜歯後の過ごし方を気をつけることもとても大切ですが抜歯後の症状を緩和、特にドライソケットになるリスクを抑えられるような治療方法とも言い換えられます。
その方法が、ソケットプリザベーション(リッジプリザベーション)です。
ソケットプリザベーションとは、抜歯窩(歯を抜いた部分)にコラーゲンや骨に代わる材料(体に優しいもの)を入れていくことで、抜歯した部分の周りの骨が吸収されてしまいへこむことを防ぐ治療方法のことです。
また、抜歯後の部分に対してブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療をする予定がある方は、骨が減ってしまうと、安定が悪くなり、長持ちしにくくなります。つまり、抜歯後に治療がある際にはソケットプリザベーションが必要といっても過言ではありません。
①ドライソケットなどの抜歯窩の治療不全を予防できる
②抜歯後の感染のリスクを下げられる
③出血要因(血が止まりにくいお薬を飲んでいる)などがある場合の止血に効果がある
④抜歯後の骨や歯肉を平坦にできることにより、治療後に入れるインプラントや義歯の安定が得られる
⑤抜歯後、食べものが詰まったりする不快感が軽減される
取り扱いがある歯医者が限られます。自分の通っている歯医者に取り扱いがあるか確認してから抜歯をすることを推奨します。
また、保険適応外であることをデメリットと捉える方もいらっしゃいます。
ソケットプリザベーションは保険適応ではありません。
ソケットプリザベーションに使用する材料の違いがあり、医院によって値段は様々です。かなもり歯科クリニックでは35000円(税抜)となります。
体の中に入れても問題ない、生体親和性があるものを使用します。
・抜歯窩に入れる材料
当院で抜歯窩に入れる材料は主にコラーゲンです。インプラントなどを行うときは人工骨や自家骨を抜歯窩に入れることもあります。
・縫合糸
歯を抜いた後は、歯ぐきを縫っていきます。一般的に親知らずの時に使う糸はシルク(絹糸)であり、メリットはしっかり縫える、ほどけずらい等ですが、汚れが付きやすいなどのデメリットもあります。
ソケットプリザベーションは、体に吸収されても問題ない糸:吸収性縫合糸と呼ばれる体に優しい材料のもの・あるいは、汚れがつきにくいナイロン(合成樹脂)の細い糸を使用することで糸についた汚れからおこる感染を防いでいきます。
ソケットプリザベーションでは通常の抜歯と同様に翌日の消毒に加えて糸を取る(抜糸)をする必要があります。抜糸まで待つ期間は1週間です。
ソケットプリザベーションをすることによるリスクは特にはありません。
むしろ、ソケットプリザベーションをせずに抜歯のみ行った場合、抜けた後の穴が露出して感染のリスクがぐっとあがります。
ソケットプリザベーションをすることで抜歯後の症状が悪化することはありません。
抜歯を終えたことによる痛みはありますが、ソケットプリザベーションをしたことによる痛みはありません。
抜歯後の症状、特にドライソケットを防ぎたい方や抜いた後に治療が控えている方はソケットプリザベーションを考えてみてはいかがでしょうか。
抜歯は今後のお口の中の環境や他の歯を守る事に対する歯科医師からの提案です。将来的な良好な噛み合わせ、不自由のない食事に対して行うことであり、前向きに捉えて治療に取り組んでいただければと思います。
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