2016/08/20
歯の神経を残すことは非常に重要です
神経がなくなると歯はもろくなり割れやすくなってしまいます
それだけではなく神経の治療は100%の成功率ではなく
顕微鏡・ニッケルチタンファイル・ラバーダム防湿
を用いた精密な根管治療でも90%前後となり困難を極めます
顕微鏡を用いない根管治療では50~60%で根尖に病変が認められる
という報告もあります
そのため歯の神経は極力抜かないようにするのが
歯の寿命を伸ばすために必要なことなのです
今回は虫歯を除去し神経が露出する場合でも神経を温存する
MTAによる直接覆髄法をご説明いたします
MTAとは
1993年に米国ロマリンダ大学のDr.Mahmoud Torabinejadら
により根管穿孔部位を封鎖する材料として開発され、1998年以降に欧米各国で、
2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて
高い臨床評価が得られている材料です。
ケイ酸カルシウムを主成分とし、生体親和性や封鎖性、石灰化促進作用、
デンティンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性に優れた革新的な材料です。
当院のMTAによる直接覆髄法は、Pro Root MTAなど複数の材料を症例に合わせて
選択しています。
<症 例>
冷たいものや熱いものを食べてもなんの症状もない歯でしたが
レントゲン写真から一番奥の銀歯の内部で虫歯になっていることが疑われました
電気歯髄診断器により歯髄はまだ生きていることが確認されています
銀歯を除去したところです
銀歯の下で
神経に到達しているかもしれない虫歯の存在が確認されました
まずは
唾液や血液による汚染を防ぐため
外周および浅い部分の虫歯を除去し光重合型レジンにて隔壁をつくります
(このときはまだ歯髄付近に虫歯を残しています)
その後ラバーダム防湿を行います
隔壁製作時に残していた虫歯を除去すると
やはり神経が露出しました
通常の治療であれば抜髄(神経を抜く)治療に移行するのですが
歯の神経を温存するためMTAによる直接覆髄法を行っていきます
顕微鏡や拡大鏡下にて
周囲の虫歯を完全に除去したのを確認し,Pro Root MTAを丁寧に詰めていきます
光重合型レジンにて密封いたします
神経が生きていることを経過観察後
症状が安定していれば
最終的な詰め物をして終了となります
当院ではMTAのおかげで抜髄処置が非常に?少しました
100%の治療法ではありませんが
顕微鏡を用いない抜髄処置の成功率を考慮すると
虫歯の大きさや歯根破折などにより適応できない場合もありますが
非常に有効な治療法だと考えております
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