2017/04/07
『保険と自由診療の違いは、治療する部位や詰めたり被せたりする材料の違いだけ』との
ご意見をいただくことがあります
もちろん、材料や使用する機器などが違うことも事実ですが、それだけではなく、『時間』の要素が
大きなウエイトを占めているということを、ぜひ皆さまに知っていただきたいと思います
奥歯が虫歯だった場合
虫歯を削り取って詰め物をする処置を行う場合
一回目
はじめに虫歯の部分をすべて除去
ベースセメント・バルクベースという神経を保護する詰め物を行います
保険診療の場合30分程度
自由診療の場合60分程度(ルーペやマイクロスコープなどの高倍率の視野で丁寧に虫歯を除去します)
二回目
持続的なお痛みがないことを確認して
保険診療の場合40分程度
1 銀歯を詰めるための形に歯を削り
2 寒天アルジネート印象法 にて型取り
3 ワックスにてかみ合わせの位置関係を記録
4 仮の詰め物をします
自由診療の場合60分程度
1 歯と歯肉がしっかり区別できるように
局所麻酔下にて圧排糸2本を歯肉のきわに設置
2 ルーペやマイクロスコープなどの高倍率の視野で
セラミックスを詰めるための形に歯を削り
3 シリコン印象法にて型取り
(精度の高い模型を製作するため 精度の高い模型製作材料を使用)
4 シリコン印象法にてかみ合わせの位置関係を精密に記録
4 仮の詰め物をします
三回目
保険診療の場合30分程度
1 銀歯を詰めるため,フロスのとおり具合や,かみ合わせを調整
2 セメントにて装着 終了となります
自由診療の場合70分程度
1 セラミックスを詰めるためフロスのとおり具合を確認
シリコン印象法で精度の高い型取りがされ,
さらに技工士も高倍率の視野で丁寧に製作されているため
ほとんど調整は必要ありません
2 装着する歯を徹底的に洗浄
唾液がつかない環境下で表面処理
セラミックス内面も表面処理をおこない
接着に良い環境を整えます
3 強度の高い特殊なセメントで接着
ルーペやマイクロスコープなどの高倍率の視野で
セメントの取り残しがないか確認 終了となります
残念ながら銀歯は再治療必要になる場合があります
症状はありませんでしたがレントゲン写真より銀歯の下が虫歯になっていることが
疑われたため銀歯を除去します
除去するとかなり変色し軟化した象牙質がでてきました
更に除去していくとかなり神経の近くまで虫歯が進行しているのがわかります
(う蝕検知液により青く染まっている部分は虫歯が疑われる箇所です)
この方の場合
MTA直接覆髄法を行い歯髄を除去せず温存する方法を選択されました
MTA直接覆髄法
単純に奥歯の虫歯を修復する方法に焦点をあて
ご説明させていただきましたが
保険と自由診療の行程と時間の差は歴然です
おなじ三回の治療ですが合計の時間は
保険診療で100分前後
自由診療で190分前後
それがすべて結果として反映されてしまいます
保険治療で複数回の治療を受けるよりも
長時間集中治療をご希望の方では
240分?500分(ほぼ1日)程度の治療を行う方もいらっしゃいます
もちろん自由診療により100%治療が行えるわけではありませんが
可能な限り再治療を行わず
「より良い治療、より確実な治療とは何か」をお考えいただき
「将来にわたって、ご自身の歯で長く快適に過ごすための治療」を
受けていただけると幸いです