睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群とマウスピース治療
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸障害を起こす病気の一つです。
睡眠中に何らかの原因で気道が閉じたり、狭くなって呼吸が止まる(無呼吸)、弱くなる、いびきをかく(低呼吸)、などの症状が発生し、苦しくなって起きることを繰り返す病気です。
この状態が続くと良質な睡眠が取れず日中に強い眠気があり、判断力や集中力の低下が起こり、重大な事故などにつながる可能性がある大変注意が必要な病気です。
また、睡眠中に無呼吸、低呼吸が起こると、低酸素血症や高炭酸ガス血症となり、心臓、肺、循環器系などに負担がかかり、高血圧、心臓疾患、脳血管障害など引き起こし、突然死の原因になるといわれています。
このような重大な疾患につながる恐れがある睡眠時無呼吸症候群は歯科医院で作製したマウスピースで治療が可能です。お悩みの方はぜひ一度当院までご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状
いびき
睡眠時無呼吸症候群の患者さまの多くは、肥満によって顎や首回りに脂肪が付いていたり、舌や扁桃が大きいことによって、睡眠時に気道が圧迫されています。その結果気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
呼吸が止まったあとに大きないびきをかく
睡眠時無呼吸という病名の通り、何らかの理由で睡眠時に呼吸が止まってしまいます。呼吸が止まると当然苦しいので、深呼吸をしようとして大きないびきをかくというサイクルを繰り返すようになります。
途中覚醒
無呼吸で苦しくなることにより、途中で何度も目が覚めてしまうことがあります。自分のいびきで目が覚めるという経験が度々あるという方は、1度検査してみても良いかもしれません。
日中の傾眠、熟睡感の無さ
睡眠時に無呼吸を繰り返すことで眠りが浅くなると、途中で目が覚めたりして、熟睡することができなくなってきます。そのため、睡眠時間はとれているようでも睡眠不足となり、日中でも耐えがたい眠気に襲われるようになります。
集中力の低下、倦怠感
慢性的な睡眠不足により、十分な休養が取れない状態が続くようになります。そのため、集中力や思考力が低下したり、どれだけ寝ても倦怠感がとれないということが頻繁に起こることもあります。
睡眠時無呼吸症候群の種類と原因
睡眠時無無呼吸症候群は、その原因別に閉塞性と中枢性の2種類に分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
閉塞性は文字通り、気道が閉塞することによって起こる無呼吸症候群のことです。気道が狭窄・閉塞する原因の多くは、肥満によって顎や首周りに脂肪が付いていることで、その重みによって気道が押しつぶされることにあります。そのほかには、舌や扁桃が大きいことや、下顎が小さく引っ込んでいることなどがあげられます。
睡眠時無呼吸症候群のうち、9割近くがこの閉塞型だと言われています。肥満との関係が深いことから生活習慣病を併発している場合も多いため、治療にはまず生活習慣の改善から取り掛かることが多いです。
舌や扁桃、下顎の形などは減量だけで改善することが難しいため、手術をして気道が閉塞しにくい形に整えるという方法もあります。
歯科分野で行う治療としては、マウスピースを用います。下顎を少し前に出した状態の噛み合わせでマウスピースを作り、それを睡眠時に装着することによって、気道が広がった状態を保つことができるようにする方法です。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)
中枢性は、脳内にある呼吸中枢の異常によって起こる無呼吸症候群のことです。睡眠時に呼吸をさせようとする脳からの指令が、なんらかの原因で肺や胸郭などに届かないために、呼吸が止まってしまう状態です。
閉塞性のような気道の狭窄はないため、いびきをかかない場合もあります。症状としては、呼吸の回数がだんだんと減ってそのうち止まり、苦しくなって目が覚めるサイクルを繰り返します。
脳からの指令がうまく伝達されない原因としては、薬物による影響や心疾患・腎疾患との関連が考えられていますが、明らかな原因がわからないものも多くあります。
ちなみに中枢性の原因が考えられる場合、歯科領域での治療はできないため対象外となります。病院で医師に適切な診断・治療をしてもらいましょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療
下顎前方移動装置(MAD)
歯科装具(マウスピース)を睡眠中に装着すると下顎が引き上げられて舌が前方に挙上し、さらに気道が拡大して空気の通り道ができます。
当院では歯型を採取して下顎を前方に移動させて固定する装置である下顎前方移動装置を使用して治療を進めています。
閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療方法として、有効といわれる治療方法として鼻CPAP療法があります。専用のマスクを装着し気道内に陽圧をかけて気道の閉塞を防ぎ無呼吸を治療します。しかし装着の違和感や抵抗感があるため、治療を断念してしまうケースが多々あります。
当院で扱っている下顎前方移動装置はこういったCPAPを試したが使えなかった方、旅行などでCPAPを使えない時に使用したい方に適しています。
下顎前方移動装置(保険適用MAD)
メリット
- 価格が安い
デメリット
- 上下顎マウスピースを口腔内で固定するため固定位置を決めるのが非常に困難
- 固定式のため違和感が強い
- 調整が難しい(調整料は保険点数にありません)
- 顎関節症を誘発する可能性が高い
- 顎位が変化する可能性が高い
下顎前方移動装置(上下非固定式MAD TAP3)
メリット
- 非固定式のため下顎の自由度が高い
- 下顎の移動量をミリ単位で調節可能患者自身で調節が可能
- 内面が軟性シリコンのため装着感がいい
- 顎関節症を誘発する可能性が低い
- 顎位が変化する可能性が低い
デメリット
- 特殊な加工が必要なため技工所が限られる(愛知)
- 納期がかかる(2週間前後)
治療を開始するにあたっての注意点
歯周病・虫歯・極度の歯列不正がない安定した状態が必須のため、初回は歯科検診(口腔内写真・レントゲン診査)を行います。治療が必要な方は歯科治療が必要です。
・歯周病が残存している場合
悪化させてしまう可能性がある
・虫歯が残存している場合
虫歯を治した場合MADを作り直す必要がでてくる
・歯列不正がある場合
MADそのものを製作できない
上記に当てはまる場合は、すぐにMADの作製に取り掛かれないことが多くありますので、その際はご了承ください。
下顎前方移動装置 (MAD)の装着調整までの流れ
口腔内が健康になった状態から以下の流れで製作を開始します。
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STEP1診査診断
口腔内写真・顔貌写真・咽頭部写真・下顎最大移動量計測など口腔内の状態を細部まで診断します。
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STEP2MAD製作
上下顎の型を採得・下顎移動量に合わせ咬合採得(製作に14日前後かかります)
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STEP3MADセット
MAD(TAP3)を口腔内にセットして調整します。装置の取扱方法の説明や注意事項を説明し、運動指導も行います。
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STEP4MAD調整
定期的に経過を観察し、装置の調整を行います。
費用や詳細の内容などお知りになりたい方は当院までご連絡ください。