2020/03/17
恒例の院内実習も28回を迎えました
この回では「入れ歯の型取り」をテーマに実習を行いました
入れ歯では歯の型取りと違って土手や粘膜などの柔らかい組織の形を記録します
患者さんに舌や顎を動かしてもらいながらの型取りなので模型を使うと実際とはだいぶ違うのですが
トレーの大きさや印象材(型取りのための材料)の状態を確認しながら実習を行いました
このように従来の方法は、柔らかくて弾性のある材料を口の中で固めることで歯や土手の型取りを行っていましたが、
材料が固まるのにかかる時間は最大5分ほどで、患者さんの負担が大きい側面もありました
最近急速に普及しているのは「光学印象」という方法です
口の中に小さな光学スキャナを入れて画像データを集積することで型取を行います
3Dデータを技工所に送ることでかぶせ物を作製してもらうという、新しい方法です
当院でも昨年9月からこの口腔内スキャナを導入し、症例に合わせてかぶせ物の作製を行っております
かぶせ物の精度もよく、患者さんの負担も少ない方法なので評判は上々です
この光学スキャナでも型取りのコツはありますので、今回の実習では各人の口の中の型取りをしてトレーニングを行いました
従来の型取りは「一発勝負」という側面があり、多くの歯の型取りを精密に行うのはとても緊張感を強いられていましたが
光学印象はソフトウエアで情報量が足りていないところ(うまく型取りできていないところ)を指摘してくれて、追加スキャンを行えば補完できる、という大きなメリットがあります
そのほかにも再作製が容易、非接触で型取りするので外科処置直後の型取りが可能など、従来では不可能だったことも可能となります
歯科分野でのデジタル活用はこれからまだまだ可能性が広がっていますので、そのメリットを見極めていち早く患者さんに還元できるよう勉強していきたいと思います
歯科医師 林