歯科医院でおこなう歯石取りについて

かなもり歯科クリニック 医院ブログ

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歯科医院でおこなう歯石取りについて


品川区の歯医者 かなもり歯科クリニックの歯科衛生士岡澤です。

多くの方が一度は歯科医院で歯石を取った経験があるかと思います。


定期的に歯科検診に通われている方はご存知かと思われる歯石取りですが、普段あまり歯科検診に行かれない方にとっては、「歯石ってなに?」「歯石取りって何をするの?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。



歯石は歯周病の要因となり、歯石取りは単なるお掃除ではなく、歯周病の治療、歯周病の予防となります。
今回は「歯石取りとはなにか」「なぜ歯石取りが必要なのか」「何を使って」「どのように」行うのか、ということをお話しさせていただきます。



歯の汚れの種類

歯垢(しこう)

歯垢とは、口のなかの細菌の集合体で、「プラーク」ともよばれます。ネバネバとした白くやわらかい汚れであり、歯垢1㎎には約1億個以上の細菌が存在しているといわれています。歯垢の状態であればやわらかいため、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなど普段のセルフケアで除去することができます。


歯石(しせき)

歯石とは、歯垢が唾液中のカルシウムやリン酸によって石灰化したもので、石のように硬い塊です。一度ついてしまうと歯磨きではとることができず、歯科医院で機械的に取る必要があります。


歯石の種類


歯石には「歯肉縁上歯石」と「歯肉縁下歯石」の二つに分けられます。


歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)

歯ぐきの上に付着している歯石のことで、色は黄色みがかった白色の比較的柔らかいことが特徴です。比較的簡単に除去できる歯石です。


歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)

歯ぐきの奥深くにこびりついている歯石で、歯周病の進行と深くかかわっていると言われています。色は黒ずんだ褐色で、歯に強くこびりついていて除去しづらいのが特徴です。

歯石を放置するとどうなるか


歯石自体が酸や毒素を出すということはないといわれていますが、歯石の表面はザラザラしているため、虫歯菌や歯周病菌がつきやすく増殖します。そのため歯石を長期に渡って放置しておくと、虫歯や歯周病の原因になるのはもちろん、口臭の原因ともなります。

歯石取りの種類


歯石取りには歯科の専門用語でスケーリングとルートプレーニングといわれる方法があります。


スケーリング(Scaling)

スケーリングとは歯ぐきより上の露出した歯面に付着したプラークや歯石などを機械的に除去することです。

ルートプレーニング(Root Planing)

ルートプレーニングとは歯周ポケット内部の歯の根(歯根)の表面の汚染されたセメント質や付着した歯石を除去し、歯根面をツルツルと滑らかにすることです。歯根を滑らかにすることであらたな歯垢がたまりにくい状態になります。

また、ルートプレーニングでは歯茎の中に器具を入れるため、痛みを伴う可能性が高いです。その為30分〜1時間程度局所的な麻酔が必要になります。


実際に治療をおこなう際は両者を一連で同時におこなうことが多く、スケーリング(Scaling)、ルートプレーニング(Root Planing)の頭文字をとって、専門用語でSRP(えすあーるぴー)とも略されます。


ただし、重度の歯周病で歯根の先まで歯石が付着している場合、スケーリングやルートプレーニングを行ってもすべての歯石は除去することができません。その場合、歯周外科治療が必要になることがあります。 
歯周外科治療
 



歯周外科治療とは、麻酔をして歯ぐきを切開し、歯根の先まで付着した歯石を徹底的に除去する治療です。歯石は放置すればするほど強固に付着するので、その分大がかりな処置が必要になることがあります。 


そのため日頃から、定期的に歯科医院で歯石を取ることが非常に大切です。

歯医者 北品川 歯周病



使用する器具

超音波スケーラー

歯医者 北品川 歯石

超音波の振動で歯の表面から歯石を剥がし取る道具です。 


パワーが強いことから施術中に痛みや不快感が生じやすい傾向にありますが、その反面、短時間で広範囲にわたる歯石の除去が可能となり、歯石を取り除く効率は極めて高いです。 


振動によって熱が生じるため冷却するための水が先端から出るので、バキュームという吸引機を使用しながら行います。

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手用スケーラー

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歯石を除去する専用の道具です。超音波スケーラーと異なり、カリカリと手動で歯石を除去します。 


先端の部分が刃となっており、鋭くとがっています。前歯や奥歯など、それぞれで適した部位が異なり、歯科医や歯科衛生士が手動で行うため、歯と歯の間の細かい部分の小さな歯石も確実に除去できるのが特徴です。
また、歯並びが悪い部分や歯ぐきより下の部分の歯肉縁下歯石の除去にも手用スケーラーが活躍します。

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処置中に痛みはあるのか?


歯石除去(特にルートプレーニング)をおこなう際は、歯ぐきの中に器具を入れて歯石を除去しますが、歯石がついている周囲の歯ぐきは炎症しているため、器具を入れると痛みを伴うことがあります。

 

そのため麻酔を使用して行うことがほとんどです。歯周病が進行している場合はほぼ必ずと言っていいほど麻酔を行います。麻酔をすることで効果的に歯石の除去を行えます。

歯科の麻酔のちくっとする不快感が苦手で麻酔をしない選択もできますが、治療中の痛みをかばい歯石を取り残してしまうと治療の効果が下がってしまいます。

歯石取りの回数は?


原則保険のルールとしてスケーリングは上下2回に分け、SRPは麻酔をして最大6回程度に分けて行います。
なぜ回数を分けるのか?という質問をよくいただきますが、理由としては、炎症が強い場合歯石取りを一度に行ってしまうと歯ぐきに痛みが出てしまう恐れがあるからです。

他にも、麻酔を口の中全体に効かせると話しにくい、口をゆすげないなどの弊害も起きてしまいます。重度の歯周病で硬い歯石がついていた場合はより歯石の除去に時間がかかってしまい、一度に行おうとすると患者様への負担も大きくかかります。 

そのため数回に分けてクリーニングを行うという保険診療上のルールに沿って、回数を分けて行っていきます。回数はかかりますが、効果的に治療を進めていくためにも複数回通っていただくことを推奨します。 

歯石取りの料金

保険適応で、初診料や検査の料金をを含め3000~4000円、2回目以降は1500円前後です。

他にも処置を行う場合はここに追加で料金がかかります。

(2024年6月現在)

歯石取りの注意点


ここまでは歯石取りの目的、処置の方法、スケーラーの種類などについてお話してきましたが、スケーリングで歯石除去する際には注意すべき点もいくつかあります。歯石の除去に伴うリスクを十分に知っておくことが大切です。

知覚過敏


スケーリングで冷たいものがしみるような知覚過敏の症状が現れる原因は、歯根面の露出です。歯石などによって腫れていた歯ぐきが落ち着くと歯ぐきの位置が下がり、歯根の部分が露出します。

歯根面にはエナメル質が存在せず、象牙質がむき出しとなっているため、そこに冷たいものなどが触れると知覚過敏が生じます。

みなさんも過去に一度は経験したことがあるかと思いますが、知覚過敏は一時的な症状にとどまることが多いです。しかしながら場合によっては慢性化してしまうため、その際は知覚過敏のお薬を塗ったりしてます。

知覚過敏の原因や対処法についてはこちらの記事を参考にしてください↓
http://kanamorisika.com/blog/2024/04/25/11709/

 

歯が長くなる・歯茎が下がる・歯と歯の間にものが詰まりやすくなる


スケーリングやルートプレーニングを行った後は、処置前と比較すると歯が長くなったように見えたり、歯茎が下がって見えたり、食べ物が詰まりやすくなることがあります。 


歯石によって腫れていた歯ぐきの腫れが落ち着くと、歯ぐきの位置が変わり、実際には歯が長く延びたわけではないのですが歯が長くなったように見えたり、歯ぐきが下がったように見えることがあります。 


ただ、いずれも歯石を取ることで歯ぐきの炎症が落ち着いてきて起こりうる治癒過程であり、悪化しているわけではありません。

詰め物が外れる


セラミックや銀歯、プラスチックの詰め物がある場合、スケーリング、ルートプレーニングの処置中にこれらが外れてしまうことがあります。通常、詰め物はしっかり接着してあるため簡単には外れませんが、長年お口の中に入っている状態ですと徐々に劣化して接着がゆるくなり、気づかないうちに詰め物の中で虫歯になっていることがあります。 

硬い歯石を取る際には場合によっては力がかかり、その弾みでそのような詰め物が取れてしまいます。 


ただ、歯石を取り残しておくことはお口の中にとって悪影響です。万が一詰め物が外れてしまうことがありましたら、外れた部分の虫歯の状態を確認し、改めて治療を行いましょう。

まとめ


毎日の歯磨きなどのセルフケアはとても大切です。しかし、セルフケアだけでは歯石の付着を完全に防ぐことは難しいです。歯石は時間がたてばたつほど硬くなり、除去が困難になり、虫歯、歯周病の要因にもつながります。

一度歯石を取ったとしても、お口は毎日使うものであり、常に細菌が存在している状態で、また新たに歯石はついてしまいます。

ご自身の歯を守るためにも定期的な歯科検診、歯石の除去をおすすめします。

歯医者 北品川 歯周病

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