2016/10/16
2016/10/01
当院ははじめてで歯科検診を5年ぶりに
いらっしゃった方です
下の前歯に違和感がかなり昔からあったが
3ヶ月前からニキビのようなものが出たり出なかったりとのことで
いらっしゃいました
右下の前歯の根本に小さな膨らみがありました
レントゲン写真をみると大きな黒い影があります
かなり大きな根尖病変のようです
CT像では2本の根管が確認できます
根尖病変は前歯4本にまたがっているように見えますが
電気歯髄診断で
右下の1番のみが神経が死んでいて
その他の歯の神経は生きていることが確認されています
原因の歯は強打した可能性が高いのですが
ご本人は10年ほど前に酔ってころんだことがあったが
よく覚えていないとのことでした
この歯に関しては現在根管治療を開始して
歯肉の腫れもなくなり症状も消えましたが
長期にわたる経過観察をしていきたいと思います
無症状で
ここまで大きくなることはまれですが
酔ってころんだときには
歯科検診を・・・
2016/08/20
歯の神経を残すことは非常に重要です
神経がなくなると歯はもろくなり割れやすくなってしまいます
それだけではなく神経の治療は100%の成功率ではなく
顕微鏡・ニッケルチタンファイル・ラバーダム防湿
を用いた精密な根管治療でも90%前後となり困難を極めます
顕微鏡を用いない根管治療では50~60%で根尖に病変が認められる
という報告もあります
そのため歯の神経は極力抜かないようにするのが
歯の寿命を伸ばすために必要なことなのです
今回は虫歯を除去し神経が露出する場合でも神経を温存する
MTAによる直接覆髄法をご説明いたします
MTAとは
1993年に米国ロマリンダ大学のDr.Mahmoud Torabinejadら
により根管穿孔部位を封鎖する材料として開発され、1998年以降に欧米各国で、
2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて
高い臨床評価が得られている材料です。
ケイ酸カルシウムを主成分とし、生体親和性や封鎖性、石灰化促進作用、
デンティンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性に優れた革新的な材料です。
当院のMTAによる直接覆髄法は、Pro Root MTAなど複数の材料を症例に合わせて
選択しています。
<症 例>
冷たいものや熱いものを食べてもなんの症状もない歯でしたが
レントゲン写真から一番奥の銀歯の内部で虫歯になっていることが疑われました
電気歯髄診断器により歯髄はまだ生きていることが確認されています
銀歯を除去したところです
銀歯の下で
神経に到達しているかもしれない虫歯の存在が確認されました
まずは
唾液や血液による汚染を防ぐため
外周および浅い部分の虫歯を除去し光重合型レジンにて隔壁をつくります
(このときはまだ歯髄付近に虫歯を残しています)
その後ラバーダム防湿を行います
隔壁製作時に残していた虫歯を除去すると
やはり神経が露出しました
通常の治療であれば抜髄(神経を抜く)治療に移行するのですが
歯の神経を温存するためMTAによる直接覆髄法を行っていきます
顕微鏡や拡大鏡下にて
周囲の虫歯を完全に除去したのを確認し,Pro Root MTAを丁寧に詰めていきます
光重合型レジンにて密封いたします
神経が生きていることを経過観察後
症状が安定していれば
最終的な詰め物をして終了となります
当院ではMTAのおかげで抜髄処置が非常に?少しました
100%の治療法ではありませんが
顕微鏡を用いない抜髄処置の成功率を考慮すると
虫歯の大きさや歯根破折などにより適応できない場合もありますが
非常に有効な治療法だと考えております
お気軽にご相談ください
2016/06/27
蒸し暑い日が続きますが、体調管理のためにどのようなことをされていますか?
これからやってくる夏は特に、
日傘や扇子などで涼んだり、水分補給にも気にかけたりすると思います。
その水分補給でスポーツドリンクを飲む方も多いと思いましたので
そんな方に知ってほしいことを今回のテーマにしました。
突然ですが、なんで虫歯になってしまうか考えたことはありますか?
うまく歯みがきができなかったからと
考えると思いますが原因は主に3つあります。
それは
・歯質(宿主条件)
・細菌
・糖質(食物)
です。
この3つの因子が重なると
歯は虫歯になってしまいます。
ですが、
考え方によってはどれか1つでも要素をなくしたら虫歯にならないということです。
どんな予防処置が考えられるのかといいますと
歯質が弱いことが原因でしたら
歯が強くなるようにフッ化物やミネラル投与が挙げられますし
口腔内の虫菌の多いことが原因でしたら
適切なブラッシングを行うことや、歯科医院で細菌たちの足場になる歯石を除去することが挙げられます。
細菌たちも大好きな糖質を長く口腔に停滞させないためには、
お水などで洗い流したり適切なブラッシングが良いです。
お砂糖で虫歯ができてしまうならお砂糖と同じ糖度をもつのに、虫歯の原因になる細菌はエサにしないキシリトールを、お砂糖の変わりに使うのも1つの方法です。
(ですがスーとしたハッカのような味がするので調理にはむかないですよね・・・)
対処方法も明確なのに、それでもなってしますのが虫歯です。
それは、3つの因子が1つの環境に住んでいるためです。
お口の中はとてもデリケートなので殺菌できる次亜塩素酸などの強いお薬は使えません。
なので3つの因子とうまく付き合っていくのがポイントになります。
次回は、その付き合い方を『ステファンカーブ』を用いてお話したいと思っています。
虫歯の機序を知ってもらうことで予防に役立ててもらえたら
こんなにうれしいことはありません。
歯科衛生士 向田
2016/05/12
妊娠前にも通院されていた患者様のレントゲン写真です
以前から左下の奥から二番目の歯には根尖病変があり
治療をしないといけませんねと相談をしておりました
そんな中,妊娠がわかり妊娠中のメンテナンスに定期的に
通院していただいていましたが
左下が非常に腫れて痛むということで急遽来院されました
拝見してみると歯肉も腫れている状態でした
銀歯がかぶっている状態でしたので外してみると
歯根が割れていて保存不可能な状態でした
患者様は親知らずの歯牙移植術をご希望されましたが
妊娠中は施術することはできませんでしたので
妥協的に根管治療を行い,出産後歯牙移植術を行いました
術後も安定しており患者様も満足していただけました
妊娠中でも治療可能なこともあります
お気軽にご相談ください
2016/03/03
04.症 例, 05.虫歯治療, 14.インプラント, 17.審美修復, 18.ダイレクトボンディング
インプラント治療が終わる前に
歯周病や周囲の齲蝕処置や根管治療は終わらせておかなかればなりません
なぜなら
インプラント治療が終わったあとに行う,周囲の高度な歯周治療は
せっかくきれいに仕上げたインプラント周囲を荒らすことになりますから
非常に困難になってしまうのです
また隣接した歯牙に重度の齲蝕や根の破折を発見した場合も同様です
今回は
インプラント治療を終了する手前で隣接した銀歯の下に虫歯があったため
ダイレクトボンディングにより修復を行いました
インプラントはネジ止めタイプ・スクリューリテイン・ダイレクトボンディングで修復です
治療計画は非常に重要ですので
限られた場合を除いて
周囲が安定した状態でインプラント治療を行うことをお勧めいたします
2016/02/01
04.症 例, 06.歯周病, 07.歯周外科処置, 08.結合組織移植術, 17.審美修復
犬歯と小臼歯が冷たいものがしみるとおっしゃる患者様です
歯肉が下がってしまい知覚過敏の症状が出て
冷たいもの・熱いもの・ブラッシングでも痛むとのことです
知覚過敏の治療は様々ございます
① フッ素や知覚過敏治療薬物を定期的に塗る方法
② 原因がかみ合わせの場合かみ合わせの改善,歯並びを治す治療を行う
③ 知覚過敏のでている部分にプラスチックを盛る
④ 歯肉が下がっている場合元に戻す(結合組織移植術)
⑤ 神経を抜く
⑥ なにもしない
このなかから治療法を選択することになります
どの治療法もメリット・デメリットはあります
③・⑤は根本的な解決にならないことが多いですが
比較的簡単で一時的な症状の改善にはつながります
しかし問題を先送りにして
将来他の問題が起こる可能性を作ってしまうことが多く
当院ではあまりおすすめしておりません
歯並びをが悪いことで過度の力がかかってしまい歯肉退縮を
起こしている可能性が高い症例ですので
根本的な解決は矯正を行い歯並びの改善・咬合力の分散を
図る必要があると思われます
今現在は矯正治療を行うことができないため
この患者様は④結合固有組織移植術(CTG)を選択されました
術前・術後3週間
術後4週間
知覚過敏症状も落ち着きましたので
夜間の咬合力の分散を考慮し,マウスピースを製作し
メインテナンスに移行しております
知覚過敏の治療も様々です
お気軽にご相談ください
2016/01/16
インプラント治療をおこなう事になるのは様々な理由があります
・虫歯が深く進行しすぎてしまい抜歯になってしまった
・神経の治療がうまく行かず抜歯になってしまった
・歯周病が悪化してしまい抜歯になってしまった
・ブリッジの土台が不慮の事故で歯が折れて抜歯になってしまった
・もともと歯がなかった
などです
様々な原因で歯を失い,入れ歯,ブリッジ,歯牙移植など様々な選択肢から
患者様のメリット・デメリットを考慮し
インプラント治療を選択し施術を行うということになります
ある一部の条件をのぞいて
歯がなくなるということは周りにあったはずの骨や歯肉もなくなっている
可能性が高いということです
今回はインプラント治療を行った,あるいは行う予定の
まわりの歯肉について簡単にまとめてみました
「インプラント周囲の付着歯肉(非可動粘膜)の必要性」
2015/10/11
04.症 例, 05.虫歯治療, 13.エクストルージョン(歯根挺出法)
他院にて、歯肉の中におよぶ深い虫歯のため
抜歯をおこないブリッジあるいはインプラントを勧められた
患者様です
歯をぬかないで保存する方法として
歯肉を下げる根尖側移動術
歯根を引っ張り出してきてエクストルージョン・歯根挺出法
があります
エクストルージョン・歯根挺出法は
前歯などで
両隣の歯肉の位置を変化させたくない場合などに
行います
両隣の歯に装置を装着して
矯正用ゴムで牽引します
適切に根管治療をおこない
移動量を確認しながら行っていきます
エクストルージョン終了後の状態です
補綴後の状態です
すべての症例で行うことができるわけではありませんが
抜歯を行わず保存することが可能になります
お気軽にご相談ください
2015/08/22