2024/06/06
01.お知らせ, 04.症 例, 06.歯周病, 07.歯周外科処置, 09.歯周組織再生療法, 10.精密根管治療, 13.エクストルージョン(歯根挺出法)
品川区の歯医者 かなもり歯科クリニックの歯科医師 林です。
当院は歯周病治療専門のクリニックとして他院で「残せない」と診断された歯を残す方法はないか、と相談される機会がとても多いです。
※このようなご相談の場合、他院で診断を受けているためご相談自体が保険適応ではなくセカンドオピニオン(自由診療)となります。セカンドオピニオンの説明については当院リンクをご参照ください。
本日は「なぜ歯を抜かないといけないと診断されたか?」の原因別に、選択しうる対処方法・治療方法をお伝えしたいと思います。
もし歯科医院で(親知らずや矯正のための抜歯の場合を除いて)「抜かないといけない」と診断された場合、その理由はいくつか考えられ、それぞれが入り混じった複合的なケースなどもあります。
その原因は
虫歯が歯肉の深くまで進行している場合
歯周病が進行している場合
根の炎症が治まらない場合
根の炎症と歯周病の進行が複合的な場合
歯が割れている場合
に大別されます。
以下ではそれぞれの原因によっての取りうる対処法を説明したいと思います。
虫歯が歯肉の深いところまで進行している状態を歯肉縁下う蝕と言います。
歯肉縁下う蝕があると虫歯を完全に除去できなかったり、被せ物を精密に作ることができないなど、様々な問題が生じるため抜歯と診断されることがあります。
その場合、当院では歯冠長延長術という歯周外科手術をご提案することが多いです。
歯冠長延長術の詳細な術式と症例については当院のホームページを御覧いただきたいですが、要点をまとめると「歯肉の上に被せ物を作るのに適した健全な歯質を確保する」ための手術となります。
上の画像のように歯肉の上に健康な歯質を確保するためには歯槽骨の上に一定量(大体3mm以上)の健全な歯質を確保する必要があります。
そのために歯肉を開いて歯槽骨の削除を行います。
このような外科手術を行うことで被せ物を精密に作る条件が整うので、その後被せ物により咬み合わせ機能の回復を行います。
より深く虫歯が進行した場合は矯正的に歯を引っ張り上げる方法(挺出:エクストルージョン)を併用するような場合もあります。
ただ、あまりに残っている根の状態が悪い場合は適応でない場合もありますので担当医にご相談ください。
歯周病が進行して歯を支持する歯槽骨がなくなります。
歯槽骨が失われることにより歯がグラグラしたり炎症を起こしたりする場合、保存できないと判断して抜歯を勧められることがあります。
当院では、適応の場合に対して歯周組織再生療法を提案することがあります。
歯周組織再生療法の術式の要点は「歯茎を切開しないと除去できない歯石を見える状態でしっかりと取り、骨より治癒の早い上皮が入りこまないように骨面を特定の材料で被覆して骨の再生を促す」ことです。
言葉で表すと単純ですが、適応症例や予後の予測、また術前のプラークコントロールや術後のメンテナンスなど様々な要素が絡む手術です。
当院は歯周病専門のクリニックとして歯周治療のプロトコルに則った診断と術式を提供しています。
治療の成功例だけ見ると「歯周病はどんな状態からでも治る」と思わせるような夢のある治療に感じられますが、どのような歯、どのような状態でも再生療法で保存できるわけではありません。
その診断と見極め、そしてご自身のセルフケアが大変重要となる治療ですので、その点をご理解いただきたいです。
一度神経を取る治療をしたあとに歯の根先端の炎症が再発し、噛んだときの痛みや歯茎の根元に膿が溜まったりすることで不快感が強くなり、抜歯を勧められることがあります。
根管治療は歯を保存するうえでとても重要な治療ですが漫然と従来の保険治療で根管治療を行っても問題となる症状が改善できるとは限らないのが現状です。
根管処理歯における根尖部X線透過像の発現率
(2005.9〜2006.12 東京医科歯科大学)
当院のHPにも掲載していますが、東京医科歯科大学付属病院による、日本における保険治療での根管治療の再発率(失敗率)を示したグラフです。45~70%の歯において再治療が必要な状態になっていることが分かります。
精密根管治療はラバーダム防湿という方法で歯を他の部位から独立させ、マイクロスコープを用いて強拡大下で専用の器具を使用して根管治療を行う方法です。
精密根管治療を行うことで治療の成功率は上昇することが見込めますが、過去の治療痕や解剖的な問題でどうしても根尖部の感染を取り除けないようなケースがあります。
そのような場合は歯根端切除術や再植術によって外科的に感染を取り除くこともあります。
精密根管治療や外科的な根の治療は歯の保存のためにはとても有益な方法ですが、ただ単にそれだけでは安定した予後が得られません。
CTやレントゲンでの診査、根の解剖的な状態及び根の中だけではなく被せ物(上部構造)をどれだけ安定して行えるかを総合的に判断した上で予後を予測して行うものです。
根の治療が成功しても歯として短命であるなら残すより抜歯したほうが合理的な場合も多々あります。
詳細は担当医にご相談いただきたいです。
上記で示したような歯周病と根の炎症が混在しているケースがあります。
これを歯周・歯内病変と言い、病態によっては治りにくい状態の一つです。
レントゲンで見たときに根の先端まで骨が溶けているので単に歯周炎(歯肉の外側からの感染)と診断されることもありますが、実は歯の中の歯髄(神経)が死んでいて歯槽骨の炎症を起こしているようなケースです。
神経の炎症・汚染が原因で骨が溶けている場合は外からいくら歯周病治療(歯石取り等)をしても歯の症状は改善しません。上に述べたような精密根管治療を行うことで改善が認められることもあります。
どちらが原因になっているか鑑別する一つの方法に歯髄電気診など、歯の神経が生きているかどうかを調べるテストがあります。
これは歯に弱い電気を流して痛みがあるかどうかで神経の生死を鑑別する方法ですが、一つの指標として利用します。
ここで電気を流しても痛みがない、もしくは鈍い感覚しかない場合は神経は死んでいると判断して神経の治療を行います。
両者が混在しているようなケースでは精密根管治療を行った後に歯周組織再生療法を行うこともあります。
いずれにしてもどちらからの感染が主要因となっているかの診断が重要となってきますが、あきらかに歯周病由来と判断されるケースを除いては先に根管処置を行って治療の効果を確認してから歯周病治療を行うことが推奨されています。
このように、歯周病治療を希望したのに根の治療を勧められるような場合はしばしばありますが、治療の成功のために必要不可欠なステップであることが多いのでご理解いただければと思います。
軽度のヒビ(クラック)であれば保存できる可能性がありますが、当院では基本的に割れてしまった歯には抜歯をお勧めしています。
亀裂に入り込んだ感染を取り除くと歯は物理的に弱くなるので噛む力に耐えて機能させるのはとても困難だからです。
ただ、抜歯後の骨を保存するような方法もあるので、当院では抜歯を行う前にその後の処置方針を固めてから抜歯することをお勧めしています。
以上、「保存が難しいと言われた歯を保存する方法」をお伝えしましたが、歯を無理に残すほうが問題となるケースもあります。
具体的には
・ご自身でのメンテナンス(清掃)が困難な場合
・残存させることで顎の左右バランスを著しく損なう場合
・かみ合わせにとってストレスとなるような位置にある場合
・その歯を残すことによって隣の歯に悪影響がでることが想定される場合
・長期予後が望めず治療にかけた時間やコストが大きく無駄になる恐れがある場合
などです
日本の保険診療のシステム上、ご自身の残存歯が多い方が価値が高いと考える傾向もありますが、当院として重要視しているのは患者様が長い人生を通して快適にお食事を楽しめる環境を提供することです。
歯を抜いたあとに義歯やインプラントと上手に付き合いながら長くお食事を楽しむのも大変価値があることと考えています。
もちろん歯周治療専門のクリニックとして天然の歯をできるだけ多く残すという信条は常に念頭に置いておりますが、長期的に安定した口腔内の環境をご提供できるためには何がベストか、という視点で治療のご提案を行っております。
セカンドオピニオン等できちんとご相談、ご納得いただいた上で上記のような治療を進めていくことをお勧めいたします。
以上のように、それぞれ抜歯と診断された原因別の対処法を説明いたしましたが、大まかにまとめると
虫歯が歯肉の深くまで進行している場合→歯冠長延長術
歯周病が進行している場合→歯周組織再生療法
根の炎症が治まらない場合→精密根管治療と外科的根管治療
根の炎症と歯周病の進行が複合的な場合→精密根管治療と歯周組織再生療法
歯が割れている場合→抜歯
となります。
これはあくまで大まかな分類となりますので個々のケースに応じた対応をご提案します。
まずは当院にご相談ください。
私たちは、歯周病専門のクリニックとして虫歯治療から噛み合わせまで、 患者さま一人ひとりに合わせたトータルな治療をご提案し、患者様の満足を第一に最後まで治療します。
初診のお申し込みは、24時間WEBから可能です。 皆様のご来院を心からお待ちしております。 http://kanamorisika.com/yoyaku24h/
2024/02/01
02.かなもり歯科クリニック, 06.歯周病, 07.歯周外科処置, 16.予防歯科, 27.治療
品川区の歯医者 かなもり歯科クリニックの歯科医師の沼部です。
CMやTV番組でもよく聞く歯周病とはどんなものなのか、原因や治療の方法までわかりやすく説明しています。
最後には予防法まで書いていますので歯周病について知りたい方、悩みがある方は参考にしていただけたらと思います。
歯周病は歯を支えている骨や歯ぐきの病気のことです。
磨き残しにより歯の表面に付着した歯垢(プラーク)が石灰化して歯石になると、
歯石が付着した歯と歯ぐきの間に隙間(歯周ポケット)ができ、炎症を起こします。
この炎症が歯ぐきの内部にまで進むと、
歯根膜(歯を取り囲む膜)や歯槽骨(歯を支えている骨)が破壊されて歯を固定する力が弱まり、放っておくと最終的に歯を失うことになるのです。
わかりやすく、家に例えてみましょう。
家の土台が柱が地盤が緩んだり、害虫によって老朽化すると、家屋を支える力を失ってしまいます。
そうなると家屋全体がグラつき始め、やがては倒壊してしまいます。
同じように歯周病では、磨き残しによって歯の土台である歯槽骨がだんだん減っていき、ついには歯が抜けてしまうのです。
歯周病の原因は様々です。原因の一部をご紹介します。
歯垢とは簡単に言ってしまうと、細菌の塊のことです。
磨き残しはお口の中の細菌によって代謝されます。さらに、代謝によって作った粘着物質で細菌は自分の周りをカバーしていきます。
この細菌と代謝物の塊が、歯垢なのです。
歯垢は細菌にとって快適な空間となり、どんどん新しい細菌が増殖していきます。
歯周病の原因菌は酸素が嫌いなので新しい歯垢にはあまりいませんが、歯垢をずっと放置してしまうことで酸素が届かない歯垢の奥深くで歯周病の原因菌が徐々に増えていき、歯周病が進行します。
タバコに含まれる有害物質の薬理作用によって、歯の周りを支えるさまざまな組織が破壊されてしまいます。
また、1日に吸うタバコの本数、喫煙歴(何年吸っているか)などは歯周病の重篤度と関連があります。
糖尿病の患者さんの特徴に、免疫力の低下が挙げられます。
免疫力の低下が見られるということは、歯周病菌に感染するリスクが通常の人よりも高いです。
さらに歯周病菌が出す炎症性サイトカインと呼ばれるものが糖代謝を防いでしまい、糖尿病を悪化させる要因になります。
他にも、ストレスや疲労による体力の低下が歯周病を悪化させると言われています。
喫煙や糖尿病は歯周病を進行させるだけではなく、治療の効果も低くなると言われています。
そのため歯周病治療では、禁煙のサポートや糖尿病の担当医師と連携して全身の健康管理も一緒に行います。
歯周病は、日本人の成人のおよそ80%が歯周病にかかっていると言われています。
まさに国民病です。
軽度のものも含めると、40歳以上では5人中4人は歯周病患者となります。
高血圧・糖尿病と同じように、初期段階では自覚症状を伴わないのが特徴です。
症状がほとんどないため、多くの人が歯周病に気付かず、放置しているのが現状です。その間に歯周病はどんどん進行していくのです。
歯周病が進行すると、以下の様な症状が出ることがあります。
・歯磨きで歯肉から出血する
・歯肉が腫れる
・歯肉が下がって、歯が長く見える
・歯と歯の間に隙間が見える
・口臭がする
・疼くような鈍い痛みがある
・食事が噛みにくい
はっきりした痛みが出ることが少なく、見た目でわかりにくいことから発見が遅れてしまうケースが多く見られます。我々歯科医師でも、自分の口の中でどれくらい歯周病が進行しているのか自分では正確に判断することがむずかしい、恐ろしい病気です。
口の中で上記のような症状があるようでしたら、歯医者さんでの歯科検診を強くお勧めします。
歯周病には段階があります。 初期の症状の段階で発見し、治療を開始することが重要となってきます。
歯と歯ぐきの間に、プラーク(歯垢)や歯石がたまり、細菌が繁殖して歯肉が炎症を起こしている状態です。
症状としては、歯肉の腫れや出血などです。
この段階であればブラッシング指導に基づく日々のブラッシングや、歯のクリーニングを1~2回行うことで、比較的短期間で回復します。
口臭や出血がひどく、歯石の付着も目立ちます。歯科医など専門家が見れば歯肉にも炎症を起こしているのが確認できる状態です。
軽度歯周病とは異なり、徐々に骨が後退しはじめます。歯周ポケットも深くなり、歯もグラグラと動揺が見られます。
この段階まで進行してしまうと、歯の表面に沿って歯肉溝の奥まで付着した歯石を取り除く必要があります。(スケーリング・ルートプレーニング)
痛みを感じる時は麻酔をして痛みを最小限に抑えた状態で歯石を取り除きます。麻酔をする治療は痛みはないと思っていただいて問題ありません。さらに数回にわたって除石を行い、歯肉の状態が改善された後に検査を行います。
歯肉溝(ポケット)の深さが4mm以上あるところは、通常の手用器具を用いた非外科的な処置での治癒は見込めないため、歯周外科の適応となります。
中等度歯周病が進行し、歯肉が化膿して真っ赤に腫れます。骨もかなり破壊されて後退し、歯の動揺が大きくなります。
重度の場合、非外科処置では対応できない部位があれば歯周外科(手術)にて対応します。
それでも保存不可能な場合は抜歯となります。歯周病の手術はいろいろありますが、基本的には日帰りで行える手術となります。
一口に歯周病といっても、その進行具合によって治療方法が大きく異なることがわかっていただけたかと思います。
重度の歯周病まで進行してしまった場合は抜歯を伴うこともありますので、歯周病が進行しないうちに治療することをおすすめします。
当院での歯周病治療の流れをご紹介します。
まずは問診票の記入をしていただきます。
その後口腔内写真の撮影・歯周ポケット検査・レントゲン検査などを行い、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯が動いていないかなどを調べます。
歯周ポケットの深さは1~3mmまでが健康な状態。4mm以上だと要注意です。
また、当院のレントゲン検査は、デジタルレントゲンで実際の1/10のX線被ばく量でパノラマ撮影が可能。デジタル操作により撮影画像を拡大することができ、綿密な治療計画を立てることに役立ちます。
歯周病検査の結果を元に、患者さまのお悩みやご希望を伺うためのカウンセリングを行います。
患者さまが、痛みや出血、膿が出る、被せ物の違和感といったトラブルを自覚していらっしゃる場合は、まずお困りの状況の解決方法をご提案し、それらの症状が治まったあとに次の初期治療へ進めていきます。
例えば、中等度の歯周病で詰め物が取れてしまい「詰め物が取れたままで気持ち悪い、食べ物が詰まって困る」といった患者さまのケースでは、歯ぐきが腫れていたり膿が出ている状況でも、まずは取れている部分に詰め物をして日常生活のお悩みを取り除きます。
特に緊急ではなく「検診を受けたい」「歯周病の検査をしてほしい」「顎の関節が気になるけど特に痛みはない」といった患者さまの場合は、検査を綿密に行い治療計画を立てます。
歯石除去や歯みがき指導などで、歯ぐきの土台を改善させるステップです。
歯周病の原因を知っていただき、歯磨きの指導を行います。患者さまご自身の日々の歯磨きの方法が上達するように指導することが私たちの仕事でもあります。
その後、スケーラーという器具を用いて歯石を除去するスケーリングや、歯根の深い部分の歯石を除去し歯根表面を滑沢にするルートプレーニング、不良補綴物の除去や噛み合わせの調整といった初期治療へ進みます。
上記の基本治療を行ったあと、経過を見ながら再度口腔内写真の撮影や歯周病検査を行い、歯ぐきの改善状況をチェックします。
この時点で歯周ポケットの深さが3mm以下で出血もなければ治療は終了ですが、健康な状態を維持するために定期的なメインテナンスをお勧めしています。
歯周ポケットの深さが4mm以上の場合は、もう一度全体的な初期治療を行います。
歯周病が進行していて歯周組織の破壊が激しい場合は歯周外科手術を行い、破壊された歯周組織を回復させます。
外科的な処置に関しては、患者さまに選択をしていただく必要があります。
外科処置を望まない場合は、再度の初期治療で少しでも改善させる方法や 被せ物で現状を維持する方法、あるいはメインテナンスに移行し現状を維持する方法など、ご希望に添える方法を一緒に探し、インフォームドコンセントの上で治療を進めていきましょう。
SPTとは、「サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー(supportive periodontal therapy)」の略称です。
治療が終了した後にも歯周病治療後の再発の予防と併せて、再発が起こってしまった場合に早い段階で適切な処置を施すために、 連続的な経過観察と予防処置を行います。
最近、歯周病の予防に関しては「メインテナンス」ではなく、この「SPT」という用語を使うことが、国内外の歯周病学会から提唱され始めています。
つまり、SPTはメインテナンスの中でも「歯周病のリスクが、中程度より高いレベルの患者さまを対象として特化した予防理念」といえるでしょう。
歯周病から歯を守るための最善の方法はずばり予防です。歯周病の予防は日常の習慣や定期的な歯科ケアによって実現できます。
口腔衛生と健康的な生活習慣を守り、歯周病を予防しましょう。早期の対策が将来の歯の健康を保つのに役立ちます。
歯周病にならないためにも、定期的にお口のチェックを受けることが重要です。
文献的な考察によると現在30歳の方であれば、定期的なメインテナンスで70歳までに失う歯は4本で済むのが目安です。
また、ポケットの深さが3~4mm程度ある場合、健康な状態と要注意の状態の境い目なので、2か月に1回のメインテナンスが理想的です。
このペースを維持できれば、10年間で歯を失う確率を1本程度に抑えることが可能です。
自覚症状のない初期段階で歯周病を発見し早めのケアをすることで重症化を回避できたり、症状が緩和したあとの定期的なメインテナンスが再発防止につながったりと、定期検診の役割は甚大なのです。
毎日の歯みがき同様、定期検診、定期的なメインテナンスを「習慣化」することをお勧めします。
生まれつき歯周病だという方はいません。歯周病は生活の中で生じる慢性病です。
小さな時から予防を習慣化することで、将来にわたって歯周病になりにくい口腔環境を作れます。
予防が重要であることは、歯周病に限ったことではありません。
乳歯のシーラントや小児矯正などで虫歯になりにくい口腔環境を整えることは、しっかりしたプラークコントロールが可能になり、総合的に「歯を残すこと」へつながるのです。
とはいっても、お子さま自身が「将来の歯の状況」を考えられるわけではないので、ご家族の「お口の中への考え方、予防の捉え方」が重要です。
当院ではお子さまへの歯みがき指導や食育指導も行っていますので、ぜひご家族揃って予防に取り組んでいただきたいと思います。
毎日使っている歯ブラシにも、歯周病菌の繁殖は見られます。
正しいブラッシングを行っていても、歯ブラシに繁殖した歯周病菌を毎日お口の中に戻していては台無しです。
歯ブラシを定期的に交換することも大切な予防です。
一般的には、通常の歯ブラシは1ヶ月、電動歯ブラシで2~3ヶ月が交換時期の目安ですが、歯ブラシの種類によって異なります。
当院では、ブラッシング方法を指導すると共に、適切な歯ブラシの交換時期についてもアドバイスさせていただきますのでお気軽にご質問ください。
歯周病専門医・指導医とは、
日本歯周病学会が歯周病治療の知識や経験を認めた歯科医師に交付する資格認定制度であり、審査・試験を経て、合格した歯科医師に交付されるものです。
日本歯周病学会とは、歯周病を克服することにより自分の歯を1本でも多く残すことを目的に1957年に設立された学術団体であり会員総数は2019年9月30日時点で11,569名在籍しております。
会員の構成の特徴としては大学の臨床講座の会員以外に、基礎講座および開業歯科医の会員、加えて歯科衛生士の会員の比率が多いことです。
このことは歯周病という疾患の病因、病態や治療法の多様性を強く反映しています。
歯周病学会は歯周治療における専門的知識と技術を有する歯科医師を育成するとともに、国民の口腔保健の増進に貢献することを目的として認定医、専門医、指導医等の資格を設けています。
平成28年12月31日時点の歯科医師数は104,533人 です。
学会員11,569人のうち専門医は「5年間あるいは認定医取得後2年間研修施設で研修し、さらに専門的な歯周治療の知識と技量をマスターした上で専門医試験に合格した歯周病学会員」
とされ、2020年5月時点で全国で約1,125人です。
また、指導医となると2020年5月時点ではわずか273人となります。
当院の院長は専門医・指導医の資格を保持しております。
資格を誇示するものではありませんが、
「歯周病治療の標準的な知識を持ち、適切な治療が行える歯科医師であること」を数ある歯医者の中から当院を見極める指標のひとつにしていただければ、安心して歯周病の治療や予防をお受けいただけます。
歯周病にお悩みの患者様はお気軽にご相談ください。
いかがでしたでしょうか。歯周病について理解が深まったかと思います。歯周病は口腔内の一般的な問題であり、適切なケアと予防策を取ることで管理できます。
歯周病の早期発見と治療は、歯と歯茎の健康を維持するために非常に重要です。
歯科医のアドバイスに従い定期的な歯科検診を受けることで、歯周病のリスクを最小限に抑えることができます。
歯周病をご自身で見つけることは難しいと思いますので、当院までお気軽にご相談ください。
私たちは、歯周病専門のクリニックとして虫歯治療から噛み合わせまで、患者さま一人ひとりに合わせたトータルな治療をご提案し、患者様の満足を第一に最後まで治療します。
初診のお申し込みは、24時間WEBから可能です。 皆様のご来院を心からお待ちしております。
http://kanamorisika.com/yoyaku24h/
2023/08/14
品川区北品川の歯医者
かなもり歯科クリニックの歯科医師
沼部です。
最近、雷雨がきたかと思えば猛暑日が続いたり、
不安定な天候に振り回されがちですよね。
立秋が過ぎたとは言えまだまだ油断ができません。
気候に左右されないよう、体調を万全にして残暑を乗り切りましょう。
さて、本日はプラークリテンションファクター(plaque retention factors)
についてです。
プラークリテンションファクターとは、
むし歯や歯周病の原因であるプラークを蓄積,増加させてしまう危険な因子
のことです。
どんなに歯磨きが上手な方でも、この因子があると
むし歯や歯周病になる危険が増大してしまうのです。
自分のお口の中にないか、チェックしてみましょう!
①歯石
歯ブラシでみがき残したプラークが石灰化し固まると歯石になってしまいます。
歯石の表面はざらざらしているので新しくプラークがつく原因となります。
②不適合修復物・補綴装置
昔に治療した時の詰め物・被せ物が合わなくなり、
歯との間に段差ができるとそこにプラークが溜まります。
③う蝕(むし歯)・くさび状欠損
歯石と同じくむし歯の表面もざらざらしていたり、
また歯に穴があいていたりするのでプラークが溜まってしまいます。
また、歯のくびの部分がすり減って歯ぐきが下がり、
くさび状に凹んでしまっている部分も同様です。
④歯列不正(歯並びの不ぞろい)
歯が傾斜したり不揃いに生えていたりすると、
みがき残しがおこりやすくプラークが溜まります。
⑤口腔軟組織の形態異常
お口の中の柔らかい粘膜にある小帯と呼ばれる部分の形の異常・歯ぐきの肥厚など。
生まれつきのものもあり、
自分では気づかないことも多いので歯科医師によるチェックが必要です。
⑥口呼吸
口で呼吸をする習慣があると口の中の粘膜や歯ぐきなどが乾燥してしまいます。
唾液の洗い流す作用が妨げられて
プラークが溜まりやすくなるだけでなく、
組織の抵抗力が弱くなり炎症が生じやすいなど、様々な問題が起こります。
⑦歯の形態異常
生まれつき歯の形の異常(歯の表面の通常はない溝や凹凸)があると、
その部分にプラークが溜まりやすくなります。
いかがでしたでしょうか?
当院ではプラークリテンションファクターが見られる場合は、
プラークがたまらないようにするため、
患者様のお口の中の状態に合ったピンポイントな歯磨き指導からはじめ、
状態によっては原因除去のための治療を行います。
ご自身で見つけるのは難しいと思いますので、当院にお気軽にご相談ください🎵
皆様のご来院を心よりお待ちしております。
2022/02/18
品川区北品川の歯医者
かなもり歯科クリニックの歯科医師
林です
暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続く今日この頃皆様いかがおすごしでしょうか
さて、今回は先日行いました院内勉強会について報告したいと思います
今回のテーマは、何度かクリニック内でも取り上げてきた「歯周病の新分類」についてです
2018年ごろにアメリカとヨーロッパの歯周病学会で提唱された概念ですが、自分たちが大学で学んだ概念とは大きく違って
歯周病を「現在の重症度(Stage)」と「未来の進行リスク(Grade)」に分けて患者さんの口の中を診断する方法です
今回スタッフで議論して改めて新分類ついて考察したことは
・治療方法を明確に区分する目的の分類であるので臨床導入の意義は大きい
・まだ議論が重ねられている途中であること(基準や解釈が明瞭でない部分がある)
ことなどです
とても専門的な内容となってしまいますが、歯周病を専門とする上では必須であり
患者さんの治療への貢献度が大きい内容に関して理解を深められて有意義な時間となりました
今後も勉強会を通して歯周病に関しての知識を高め、患者さんに還元できるよう
精進したいと思います
2021/02/27
こんにちは!
風が冷たい日が続いてぽかぽか日和が待ちどおしいですね(>_<)
今回は歯周病細菌の検査についてお知らせします
歯周病は最初は痛みがないため気づかないうちに進行してしまうことがあります
歯周病はお口の中の「菌」が悪さをすることによって起こります
お口には300から500の菌が住んでいますが、中には歯周病を引き起こしやすい菌が住んでいることも…
特に危険なのがポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g菌)という菌で、歯周病になりやすく、悪化しやすいといわれています
当院の細菌検査ではP.g菌がいるか調べることが出来ます
また、治療前と治療後でどの程度歯周病リスクが変化しているか数値で見ることが出来ます
口腔内だけでなく身体の健康にも影響する歯周病の原因菌。どのくらいいるか検査で確認してみませんか?
歯科助手 須藤
2018/09/11
02.かなもり歯科クリニック, 03.学会・研修会, 06.歯周病
やっと過ごしやすい季節になってまいりましたが、皆様いかがおすごしでしょうか
今回は歯周病治療の基本であるSRP(スケーリング・ルートプレーニング)についての実習をご報告いたします
最初のテーマは、「器具による歯石除去の違い」です
現在当院ではSRPのための道具として
・超音波スケーラー
・手用キュレット(グレーシーキュレット)
・Er:YAGレーザー
の三種類を用意しています
今回の実習では歯石を模した模型と滅菌した実際の歯(抜去歯)を使ってそれぞれどのような違いがあるかを確認しました
学術的には器具による歯石除去の違いに関して様々なデータがありますが、各々が実感としてどの器具を使えばどのように歯石が取れていくかを口腔外で確認できたのはとても有意義でした
(上記写真は、当院での勉強会で衛生士の中村さんが作成したスライドから引用しました^ ^)
次に前回実習に引き続きシャープニング実習を行い、今回は刃部を各自マイクロスコープで確認してみました
当院の衛生士さんたちも、自分でシャープニングした刃部を日常的に拡大して見ることは少ないので、みなさん興味津々でディスカッションを行なっていました
最後に基本的なキュレットの保持方法とレストの置き方、動かし方などを院長から指導いただき、各自確認を行いました
歯科医院では日々このように様々な方法を駆使して歯石除去を試みています
なぜそこまでして歯石を取る必要があるのか?
についてはまた別の機会にお伝えできればと思います
歯科医師 林
2018/07/06
ペリオアナリーズ
インプラントは人工物ですが、
きちんとしたメンテナンスを行わないと、
ご自身の歯と同じように歯周病が進行する可能性があります
また、インプラントの手術を行う前に歯周病治療を行い、
口腔内の環境を整える必要があります
根本的なところから徹底した歯周病予防を行うためには、
患者様一人ひとりの口の中の状態を把握した上で、
予防を行わなければなりません
ペリオアナリーズとは、
歯周病に関与している病原菌の種類と比率を検査することができるキットです
歯周ポケット内の唾液を採取するだけの簡単な検査のため、痛みなどはありません
歯周病関連細菌検査を行うことで歯周病リスクを細菌レベルで評価し、
患者様のリスクに合った予防プログラムを作成します
詳しくは、当院スタッフから説明させて頂きますので
気になる方おりましたらお声かけ下さい
歯科助手 鶴見
2018/06/29
GPアカデミーの実習も今回で12回目ですが今年はいよいよ歯周病について1年間学びます!
記念すべき第一回のテーマは「口腔内写真撮影」です
昨年の実習はドクターのみで行っていましたが、今回はスタッフ全員で習得すべき技術としてトレーニングを行いました
参加してくれたのは当院の若手スタッフ3人です^_^
最初に院長から、基本的な口腔内写真の説明、講義を行ってもらいました
(説明に使用したスライドは過去にスタッフの鶴見さんが当院の勉強会のために作ってくれたものです!)
みんな真剣に院長の説明を聞いていましたが、撮影に関する説明への関心に留まらず、実際の症例写真のビフォー、アフターの比較を見て「すごい!こんなに綺麗に治るなんて!」という素直な反応で、とても新鮮でした^_^
実習は各自まず模型を使っての撮影を行いました
他のスタッフが撮影している間もイメージトレーニングに余念がない姿もまた印象的でした
その後お互い実際に口腔内撮影を行いましたが、ここではアシストのコツも満載で、いかに患者さんのストレスのないように撮影者もアシストも気を遣うべきか、身をもって体験できたと思います
ところで、口腔内写真撮影で使用するカメラは、女性が片手でホールドするにはかなりキツイ重さです…
なので出来る限り両手で持てるようにアシストしてもらうのですが、それでも数回連続で撮影をするような場合はかなりフラフラになります(>_<)
今回、トレーニングに参加したスタッフからも撮影枚数が増えるごとに「重い!腕が震える!」との悲鳴が上がっていました。
よりシンプルで軽量な撮影機器もありますが、撮影された写真の精度を求める場合はやはり重量のあるフルサイズ機器がベストなのでそこは耐える、もしくは鍛えるしかないですね…(u_u)
当院では初診時および治療の各ステップでお口の中の状態を記録させていただいてますが、これは患者さんと治療者両方においてとても重要な資料となります
口が小さい方、開けにくい方にとっては撮影されるのは大変なこととは思いますが、どうかご協力のほどよろしくお願い申し上げます
歯科医師 林
2017/03/21
先日、歯科医療メーカーのGCで行われたセミナーに参加してきました。
当院でも取り扱いのあるルシェロ歯ブラシについてが主な内容でした。
いきなりですが、このブログを読んで下さっている方にお伺いします!
歯ブラシを選ぶ際は何を基準にされていますか?
薬局やスーパー、歯科医院でもさまざまな歯ブラシが置かれていて
どれを使ったら良いか迷ってしまいますよね。
GCのルシェロ歯ブラシの種類も現在13種類あるそうです。
患者さんの口腔内の状態に合ったものを「処方」する
というコンセプトの歯ブラシだそうです。
私も実際にこちらの歯ブラシすべての使用感を確認させていただき、
使う歯ブラシの種類によって汚れの落ち方が違うことがよく分かりました!
ブラッシング指導の際にはみなさんに合った歯ブラシをご提案させていただければと
思っておりますので、遠慮なく担当歯科医師、衛生士に聞いて下さい!
歯科衛生士 岡澤
2016/02/01
04.症 例, 06.歯周病, 07.歯周外科処置, 08.結合組織移植術, 17.審美修復
犬歯と小臼歯が冷たいものがしみるとおっしゃる患者様です
歯肉が下がってしまい知覚過敏の症状が出て
冷たいもの・熱いもの・ブラッシングでも痛むとのことです
知覚過敏の治療は様々ございます
① フッ素や知覚過敏治療薬物を定期的に塗る方法
② 原因がかみ合わせの場合かみ合わせの改善,歯並びを治す治療を行う
③ 知覚過敏のでている部分にプラスチックを盛る
④ 歯肉が下がっている場合元に戻す(結合組織移植術)
⑤ 神経を抜く
⑥ なにもしない
このなかから治療法を選択することになります
どの治療法もメリット・デメリットはあります
③・⑤は根本的な解決にならないことが多いですが
比較的簡単で一時的な症状の改善にはつながります
しかし問題を先送りにして
将来他の問題が起こる可能性を作ってしまうことが多く
当院ではあまりおすすめしておりません
歯並びをが悪いことで過度の力がかかってしまい歯肉退縮を
起こしている可能性が高い症例ですので
根本的な解決は矯正を行い歯並びの改善・咬合力の分散を
図る必要があると思われます
今現在は矯正治療を行うことができないため
この患者様は④結合固有組織移植術(CTG)を選択されました
術前・術後3週間
術後4週間
知覚過敏症状も落ち着きましたので
夜間の咬合力の分散を考慮し,マウスピースを製作し
メインテナンスに移行しております
知覚過敏の治療も様々です
お気軽にご相談ください