エクストルージョン—品川区・大田区（東京）の歯科・インプラント・歯周病なら「かなもり歯科クリニック」

エクストルージョン

エクストルージョン（歯根挺出法）とは、歯肉の中に埋もれている歯にフックをつけ、矯正用のゴムで引き上げて歯肉の上に露出させる方法です。そうすることにより、たとえ虫歯や割れた歯であっても土台を立てることが可能となり、被せ物が取り付けやすくなります。

露出させた歯の面積が増えることにより、歯を抱え込むように被せ物を作ることができるため、取れにくく長持ちするようになります。

エクストルージョンは、基本的には歯の根が1本、あるいは2本の歯に対して行われることが多く、根が3本あるなど、複雑な形の根を持つ歯は対象外となります。さらに2本以上同時に歯を引っ張る際は、エクストルージョンの適応が難しくなります。

また、両隣の歯がグラグラしている場合や大きな虫歯がある場合、歯周病がかなり進行している場合など、隣接する歯の状態が悪いとしっかり固定できないため、対応が難しい場合があります。

●抜歯するしかない状態の歯を残す

重度の虫歯や、歯が割れたり折れたりして、歯肉より上の部分がほとんど失われているケースでも、患部の下にある健康な部分を歯肉の上に出せれば、抜歯をせず歯を残せる場合があります。

例えば神経を抜いた歯で、痛みを感じないために歯槽骨の中まで虫歯が達している場合。根の先端に病変があることから、他院では抜歯してインプラントをすすめられるケースが多く見られます。

しかし、エクストルージョンでは矯正力によって虫歯を少しずつ引き上げ、歯周組織を調整してから最終的な治療を行います。このような治療は条件が揃わなければなりませんが、一つひとつの処置を精密に行うことで健康な状態の歯を残せます。ぜひご相談ください。

●破折を防ぐフェルールを獲得する

歯にクラウン（被せ物）を被せたとき、土台として接触する象牙質の部分（フェルール）が大きいほど、歯へのダメージが少なくなります。エクストルージョンで埋没部分を引き上げて「土台」を十分に確保できます。

●審美性の確保

歯肉が目立つことで「口を開けて笑えない」というコンプレックスに対応するため、ガムライン（歯肉の高さ）を修正して歯の長さを揃えたり形を修正して審美性の確保に応用できます。

●骨量を増やして良好なインプラント治療を行う

インプラントをする際に、できるだけ抜歯する歯の周りの組織（歯槽骨・歯肉）を温存あるいは再生するようにします。エクストルージョンにより歯槽骨量が増え、同時に歯肉が盛り上がってくるので、抜歯後も審美的に優れたインプラント治療ができます。

歯が歯肉の中に埋まっている状態では、歯肉が邪魔になり土台や被せ物を精度よく付けることが困難ですが、エクストルージョンで歯肉の中に埋もれた歯を引き上げることにより、それを土台に適合性の高い被せ物を付けることができます。

また自分の歯を残すことで歯みがきしやすくなるなど、虫歯や歯周病になりにくい口腔内環境を整えていくことができます。

STEP1

根の治療をする

まずは根の治療をしていきます。根の治療がしっかりしていないと治療後に痛みを伴うことがあります。
STEP2

牽引装置を装着

根にフックを埋め込み、ゴムで引っ張る間に根が虫歯にならないよう表面をコーティングします。また両隣の歯に牽引装置を接着剤で付け、装置を固定します。
STEP3

フックとワイヤーをゴムでつなぐ

矯正用のゴムでフックと牽引装置をつなげます。このとき、反対側の歯に装置が当たらないよう調整します。矯正中は仮歯を装着しますので、日常生活の見た目には支障はありません。
STEP4

ゴムの力で歯を引き上げる

定期的にゴムを交換し、歯の根を少しずつ引き上げていきます。その後被せ物によって歯の修復を行います。